こんにちは。ドメです。




最近、別の仕事で本職のミュージシャンの方とお話をする機会がありました。
やっぱり音楽好き者同士っていうのは会話もはずみます。
人によって色々とこだわりがありますからね。いろんな考え方が聞けて楽しいところ。






今日はナットの話でも書こうかと思います。
ピッキングのニュアンスを弦に伝え、木が振動し、そして再び弦が震えP.U.が拾って電気回路を通りアンプから音が出るというメカニズムなギターですが、ピッキングのニュアンスを極力ロスなく伝えるための重要なパーツとしてナットがあげられます。
弦の振動をネックに伝え、チューニングを安定させる要素もあるとても重要なパーツです。




素材も様々で、牛骨、象牙、カーボン、プラスチック、ブラスと様々なものがあり、変えただけで音のキャラクターががらっと変わりますね。 




今日はそんな重要パーツであるナットについて書いていきます。




素材は色々

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これは牛骨です。
四角いブロック状のものから仕上げました。
伝統的なギターのほとんどが牛骨でできています。可もなく不可もなくオーソドックスな音がします。
牛骨にもオイル漬けとかいろいろありますね。なんとなくオイル漬けのほうがいいような気がしますが、プラシーボ効果のような気もします。









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こちらは安いギターについているプラスチック。







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ものによっては中がすっからかんのようなものもあります。
これがついていたギターでもby GIBSONなんてなっているから怖いところ。
デザインだけとか名前だけというのは非常に危険だとわかった瞬間です。








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プラスチックとオイル漬け牛骨の比較です。









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ぼくの個人的なおすすめ。
グラフティックのカーボンナット。
カーボンという加工がしやすい素材というのもありますが、摩擦係数がゼロに近いため、
弦にストレスがかからず弦が切れにくくなりチューニングも安定するとかしないとか。
牛骨に比べると柔らかな音がします。これに変えてからほとんど弦が切れにくくなりました。



※2017/01/19追記
上記、カーボンではなくテフロンの高分子とのこと。
失礼いたしました!







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こちらは色違い。
黒のほうがなんとなくかっこいいかも。




cyuya-onlineさんでは下記のような記事がありました。

ーTUSQ の特徴ー
他の自然素材―象牙や骨材で現れるような不協音を伴わない、リッチな音色とサステインが特色です。
また、弦からボディへとより効率的に適切な周波数を伝えるようにデザインされており、その結果デリケートな高音と大きく開放的な低音を生み出します。

ーTUSQ XL & BLACK TUSQ XLの特徴ー
弦が振動する事によってテフロンのマイクロ分子が放出されます。
この分子によって覆われたTUSQ XLは、弦の摩擦を最小限に抑える事でチューニングの狂いを少なくしています。 そして、このテフロン分子はナットから放出される為、消えて失う事はなく常に潤滑剤としての効果を持続します 。
「TUSQ XL」と「BLACK TUSQ XL」の違いはカラーのみです。
「TUSQ XL」は「TUSQ」と同様に象牙のようなアイボリーカラー。
「BLACK TUSQ XL」は、その名の通りブラックです。




http://www.chuya-labs.jp/2011/03/graph-tech.html










最初はまったく信じてなかったのですが、実際使ってみてサスティーンの長さと弦の切れにくさに驚き今では喜んで使っています。












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ナットの交換で必要な情報は下記の4つ。
1.長さ(横幅)
2.幅(厚みともいえるかも)
3.EtoE(1弦と6弦の間の長さ)
4.高さ


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モリダイラ楽器のHPより





半分加工されているようなものをつけるにしても、ブロック状のものを加工するにしても必要な情報です。ここをなぁなぁでやると後でえらいことになるので面倒でもきちんと計測して情報を持っておきましょう。











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ブロック状のものを買ってきたらこんな感じで以前についてたナットを参考にしながら
形成していきます。ここから削っていくのはけっこうめんどくさい。
しかも牛骨は削ると変な匂いがしてちょっと苦手。






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この写真もまだ加工途中のもの。
何かひっかかりがあると素直にチューニングペグが巻けないですよ。








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使用するのはこういうナット専用の溝ヤスリ。
どれぐらい削ったらいいのかとか削り方はネットの動画に山ほどでています。
ヘッドに向かってまっすぐというのが基本ですね。






そういえば、どこかの楽器フェアに行った時にプロのギターがかざってありました。
ついついナットの仕上げとか見ちゃいます。





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布袋寅泰さんのギター







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GLAY HISASHIさんのギター





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LUNASEA SUGIZOさんのギター
個人的にはこのナットの仕上げというか攻め方好きです。
弦が埋まりすぎずナットに乗っているような状態。








ナットにゴミが詰まっていたりすると変なビビリというか詰まった音がします。
そういう意味でもこの溝切り作業はとてもシビア。
ちなみにゴミが詰まっているだけの状態であれば




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糸ようじを使って掃除するというのも全然ありです。







奥が深いですね。
それでは!

 
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