こんにちは。ドメです。




日頃から仕事で記録のために写真を撮ることが多いのでハードディスクを圧迫しています。
写真を見ながら、どの記事を書こうかなと思っていたのですが、今日はレコーディングで需要のあるFURMANのキューボックスのリペアについて書いてみたいと思います。






"FURMANのキューボックス?"となる人もいるかと思いますので簡単に説明。
レコーディングブースなどではギターやベースを別々のブースで弾いたり、別録音したりします。
で、それを聴きながら自分のパートを録音したりするわけですが、自分が弾きやすい音量というのは楽器ごと、人により様々で、コンソールから送られてきた音を各メンバーで各々調整して聴きながら弾くための道具です。 





wikipediaによる解説は以下のようになっています。

キュー・ボックス (cue box)とは、録音スタジオあるいは舞台において、演奏者等の手元で複数の入力からなる音源に対して個々にレベル調整可能な小型ミキサー付きのヘッドフォン・モニタリング・システムである。特にこの用途に特化した製品をキュー・ボックスと呼称する事が多く、ヘッドフォンを差してモニタリングする際に使用する子機の方を指してキュー・ボックスと呼称され、そのシステム自体はキュー・システムと呼称される。 







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で、こいつが現場で有名なFURAMANのキューボックス。
HR-6という機種です。手ごろな値段でいまだ使っているスタジオも多いようなのですが、現在では生産中止。というわけで買い替えができない状態のようです。どうしても使いたかったら修理して使うしかありません。別メーカーのものに買い替えるのを検討される方も多いようですが、キューボックスって思いの外お値段がはるようですね。



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この時に依頼があったのは3台。
話をきけば接触が悪い部分があっていくつかの端子が死んでいる。。とのこと。
(上記の写真でいえば赤ペンでバツが書いてあるところ)
で、よーくみてみました。







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この機械、機械同士はイーサネットケーブルでつなぐようになっています。
イーサネットケーブルって書くとややこしいですが、インターネットする時に使うLAN線です。
あれって、こう、カチっとはめて使うわけでPCなら一度差したらそのまんまなわけですが、こういうレコーディング機材なんかだとしょっちゅう抜き差しをすることも多いようです。
しかもレコーディング終わったらサッサと帰りたいわけで、自分の機材でもないともなればけっこうシビアな使われ方とされてしまうようなんですね。







端子の奥深くをのぞくと案の定、中の線が折れて無くなっていました。
例えば10本の線が入っていて各々の役割があるのに2本とかなくなっていたら音が出ない確率が多いですね。そんな感じ。というわけで、この際なんで3台とも端子を総取替えすることにしました。








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一台につき4つ!





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これは基盤を裏から見たところ。
一個の端子につきハンダのポイントが10個。
10×4=40


40箇所のハンダポイント×3台=120箇所!
というわけでハンダを吸い取りながら古い端子を外していきます。




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壊れている端子。
「お前のせいで音がでらんのじゃー!!」
と怨念を込めながら外していきます。






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余計なハンダが残っていると、ろくなことにならないのできちんと吸い取ります。
こういう作業を雑にやると大概後で苦労するのは、この作業にかぎらず同じですね。








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FURMANのHR-6基盤を見ると1998年のもののようですね。
18年もたったのか。。。というわけで、いつものように秋葉原の千石電商で買ってきた部品をとりつけていきます。もちろん先ほど取り外した時と逆の作業ですから120箇所のハンダ付けです。






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こういう基盤ものの修理で大切なことは同じ端子の数、蓋を閉めた時にきちんとしまるかどうか、耐圧などは大丈夫なのかというところを考慮したうえでの部品の選定です。汎用的な部品であればいいんですけど、特殊なやつだと修理が難しいですね。とはいえスタジオも経営されている知り合いの方からの依頼だったのでキューボックスを頑張って修理します。






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よくわからないシールのノリのあともあったのでシンナー使って磨いてきれいにしておきました。
(塗料部分にやると塗料も溶けたりするのでシンナーの扱いには気を付けましょう)



修理が終わったら、キューボックスのサイドに僕が修理した日付と名前を入れたダイモテープを貼ってできあがり。






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先日スタジオに遊び行ったところ再びスタジオでキューボックスとして使われていました。
自分が治した機材が動いているのを見るのは気持ちの良いものですね。





それではー!