ドメのギターリペアブログ

ギターリペアに関するブログです。リペアをやってみたい方は是非一度読んでみてください。

こんばんは。ドメです。





今回はこちらのブログを見てリペアをオーダーをしていただいたお客様のリペア日記です。
ギターでもベースでも音響機器でもスイッチ部分やボリュームポッドなどのトラブルは多いと思います。
友人のプレイヤーと話していてもやっぱり使用頻度の高い、スイッチ部分やセレクターなどは、ノイズ、ガリ、曲がりといったトラブルはつきものという結論に。


さて、今回の事例はFuraman hr-6のシャフト折れです。
というわけで早速現物を送っていただきました。



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見事にポッキリいっています。
金属披露なども考えられますが、ギターやベースのボリュームポットだと、落としてしまった時にポッキなんてパターンもありますね。
瞬間接着剤で接着!なんて考える人もいるかもしれませんが、長い目で見た時の耐久性で考えると少々不安が残ります。このような場合は部品を交換してしまったほうが安心です。






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現況をよく確認してみると、一番右のシャフトは曲がっていることがわかりました。
もちろん機能的には問題がないのですが、長い目で見ると折れてしまう可能性もあります。
(本来かからなくていい部分に力がかかってしまうため)
勝手にリペアするわけにはいきませんので、お客様に確認をさせていただき、こちらも修理となりました。







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まずは古い部品を取り外すために基板が見える状態にします。
前回も書きましたが使用されているのは全て10KのAカーブのポットです。



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まずは壊れた部品を取り外すところから。
取り付けるよりも外すほうが時間がかかります。





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前回、色々と調査と検討を重ねった結果からですが、全く同じ部品は市場では手に入らないので、近い形に部品を加工することに。秋葉原で部品を買ってきて、足の部分を基板取り付けように加工します。
発想としては機能を回復してコストパフォーマンスのいい方法で。というところでしょうか。







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まずは取り付け。




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次は追加でリペアとなったシャフトも取り付けていきます。
追加でリペアとなった部分は単相ではなく複層のシャフト。
足の本数は6本です。
なので、複層のシャフトの足の部分を加工して基板取り付けように加工していきます。



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コンデンサの足などが加工がしやすいです。
ちなみにこの線は秋葉原などに行けば普通に売っています。



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基板取付仕様になりました。




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基板に取り付けました、
余分な足は切り取ります。




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無事に機能が回復しました。
この後、お客様のほうで動作確認をしていただき、無事に動いたとのことで一安心。
Furaman hr-6は無事に現場復帰を果たしたようです。





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いつもはやらないんですが、instagramで加工したら、なんかそれなりに写真がかっこよくなりました。(笑)













こんにちは。ドメです。

久々にリペアの依頼がきたので備忘録的に書いておきたいと思います。
今回はこちらのブログを見たお客さんより、是非リペアをということでお引き受けいたしました。




【FURAMAN HR-6のガリのリペア】

FURMANの名機であるキューボックスHR-6という機械。
スタジオでの使用率はいまだ高く、生産中止となっているにもかかわらず依然人気は高いようです。
ですが、修理してくれるところも今はあまりないようで、今回の依頼となりました。


今回はキューボックスのボリュームノブにガリが出ているのでなんとかしてほしいという依頼。
応急処置的には接点復活剤で処理するのが有名ですが、根本解決にはならなさそうでしたので、部品の交換をすることにしました。




まずは修理箇所の確認と分解


furmanのキューボックhr-6の修理箇所を確認します。。
自宅にはキュー・ボックスを確認できる環境はないので、オーダーを受けた状態で場所の確認をします。キュー・ボックスの一番右のボリュームツマミにガリが出ているとのこと。



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写真のように修理箇所を目視でわかるようにしておいてもらえると間違えるリスクを減らすことができます。ありがとうございます。




まずは筐体のネジをはずし、部品が取り外せるところまで持って行きます。






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基盤が出てきました。
交換するのは一番右側のボリュームポットです。





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写真の一番手前のボリュームポットが修理箇所。
ピンぼけしていますが"A 10K"と記載があります。
10KのAカーブという種類のボリュームだということがわかります。


ボリュームにはAカーブやBカーブなどがありますが、これはボリュームのツマミを回した時にどのような上昇をするかというところに違いがあります。
抵抗値の変化と聴覚上の聴こえ方には違いがあり、記事を書いている人によっても、製造しているメーカーによっても差がありますので、ここは素直に同じ種類のパーツに交換することにしました。




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そして上記の写真からもう一つわかること。
ボリュームポットが基盤に直接はんだ付けされています。
つまり、基盤取り付けタイプのボリュームポットが望ましいということです。



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ギターなどではボリュームポットの足に配線して自由な長さで配線できますが、基板取付タイプなので寸法がシビアということですね。





部品の買い出し


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少々、破壊気味に取り外した部品です。買ってくる部品としては下記の部品となります。

  • ツマミの高さが決まっていて
  • 足が6本有り。(他のツマミは足は3本)
  • 基板取付タイプ
  • 10K Aカーブ



というわけでいつものように秋葉原のパーツ屋へ。
がっ、大概のものが揃うパーツ屋を3店舗回ってもその要件を満たすパーツに巡り会えず、店員さんにも"このサイズは無いねぇ。だいぶ珍しいですよ"と言われる始末。どうやら市場に出回っていないようです。
ビンテージ系の機械であれば世界中のパーツ屋を探し回ったりして同一の年代、同一のパーツを揃えるというのもあるのですが、そこにかけるコスト、そこにかける時間、これからのメンテを考えるとビンテージ系の機械でもないかぎり、あまり建設的ではありません。
市場に出回っているパーツで同一の機能が満たされて問題なく動くというのが現実的かと考えています。
そんなわけで秋葉原の店員さんにも相談しつつ、市場に出回っているパーツで工夫をすることに。





【取り付け】
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ツマミを同一のものを使いたかったのもあり、まずはほぼ同一サイズではあるが基板取付タイプでないものを試してみます。基盤取り付けタイプではないので配線材を使用して結線。



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次に配線材を保護する意味合いも兼ねてホットボンド(グルーガン)で保護。
これで筐体に戻そうとしたのですが、配線材の厚み、ホットボンドの厚みが邪魔をして蓋が綺麗にしまりません。逆に言えば、それぐらいギリギリの寸法で作られているのです。




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市場に出回っている基盤取り付けタイプのボリュームポット。
足は6本あるのですが、FURMAN hr-6の足の間隔はもっと広いのでサイズが合いません。
仮にこれがうまくはまったとしても、ツマミのサイズが異なるので今までのものは使えず、別のツマミを取り付けることになるので、見た目が大きく変わります。






うーん。どうしたものか。と悩んでいたところ、かつてのメンバーとの飲みのお誘いが入り少々飲みに行ってきました。実に会うのが15年ぶりでしたが、時間を感じさせない会話は高校生の頃の自由なバンド生活が濃かったせいかもしれません。
お金もなかったけど自分達で工夫してライブやバンドやってたよねぇ。
なんて会話をしてたわけですが、"工夫"という言葉でピンときました。




今の発想は市場に出回っているものを取り付けようとしている。

だけど市場のものでは"サイズが合わない"or"配線的に無理がある”

"工夫"をして部品を加工して取り付ければいいのではないか?




という発想。です。工事現場の職人時代もそうでしたが、こういう時は作ればいいのです。
職人は道具から作るという発想ですね。(しばらく離れてたらすっかり忘れてた。)




というわけで、部品を加工することにしました。








【コンデンサの足を利用して加工】
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部品に工夫をということで、先程の基盤取り付けタイプではないが、サイズが合っているものを加工することにしました。
基盤に当たりそうな部分をカットし、コンデンサの足を利用して部品を作ります。



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適度な硬さ、適度な加工のしやすさがあるので、多少、融通をきかせることができるのがコンデンサのなど電子部品の足の部分。長過ぎる足はカットするのですが、それがけっこう自宅のリペアボックスに余っていました。





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というわけで、加工した部品を使って取り付けました。
これでも足のサイズはきっかり同じではないのですが、多少の曲げの融通が効くのがコンデンサの足。
無事に筐体におさまるところまでもっていけました。




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この写真でいうと一番左側のツマミが交換部品です。
シャフトの長さは多少短いですが、見た目を変えずに同じ機能を保たせることができたので一安心。



この後、お客さんの元に郵送し、動作確認をしてもらったところ、無事に動いたとのことで連絡をもらいました。無事に動いて何よりです。
修理完了!ありがとうございます。









【思ったこと(勝手に予想)】
パーツの供給というのは市場に大きく左右されます。
同一サイズのパーツが手に入らなければ、メーカーは市場に出回っているパーツに合わせて設計を変えて新商品を出すか、今回のように部品を加工する必要があります。
ですがこれをメーカーが手工業でやっていたのでは採算がおそらく合わない。というので廃盤になっていくのかなぁと勝手に予想しています。
最近では特にそうなのですが、他の機材のメーカーも修理が来ると、半田で修理したりはせず基盤ごと交換という流れのようです。たしかにそちらのほうが時間的にも早いですものね。そちらのほうが人件費的にも安いので安く供給できる。

というわけで基盤と向き合ったりするのはブティック系のメーカーとか、街の工房とかなのかもしれません。今回も勉強になったリペアとなりました。









こんにちは。ドメです。




日頃から仕事で記録のために写真を撮ることが多いのでハードディスクを圧迫しています。
写真を見ながら、どの記事を書こうかなと思っていたのですが、今日はレコーディングで需要のあるFURMANのキューボックスのリペアについて書いてみたいと思います。






"FURMANのキューボックス?"となる人もいるかと思いますので簡単に説明。
レコーディングブースなどではギターやベースを別々のブースで弾いたり、別録音したりします。
で、それを聴きながら自分のパートを録音したりするわけですが、自分が弾きやすい音量というのは楽器ごと、人により様々で、コンソールから送られてきた音を各メンバーで各々調整して聴きながら弾くための道具です。 





wikipediaによる解説は以下のようになっています。

キュー・ボックス (cue box)とは、録音スタジオあるいは舞台において、演奏者等の手元で複数の入力からなる音源に対して個々にレベル調整可能な小型ミキサー付きのヘッドフォン・モニタリング・システムである。特にこの用途に特化した製品をキュー・ボックスと呼称する事が多く、ヘッドフォンを差してモニタリングする際に使用する子機の方を指してキュー・ボックスと呼称され、そのシステム自体はキュー・システムと呼称される。 







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で、こいつが現場で有名なFURAMANのキューボックス。
HR-6という機種です。手ごろな値段でいまだ使っているスタジオも多いようなのですが、現在では生産中止。というわけで買い替えができない状態のようです。どうしても使いたかったら修理して使うしかありません。別メーカーのものに買い替えるのを検討される方も多いようですが、キューボックスって思いの外お値段がはるようですね。



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この時に依頼があったのは3台。
話をきけば接触が悪い部分があっていくつかの端子が死んでいる。。とのこと。
(上記の写真でいえば赤ペンでバツが書いてあるところ)
で、よーくみてみました。







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この機械、機械同士はイーサネットケーブルでつなぐようになっています。
イーサネットケーブルって書くとややこしいですが、インターネットする時に使うLAN線です。
あれって、こう、カチっとはめて使うわけでPCなら一度差したらそのまんまなわけですが、こういうレコーディング機材なんかだとしょっちゅう抜き差しをすることも多いようです。
しかもレコーディング終わったらサッサと帰りたいわけで、自分の機材でもないともなればけっこうシビアな使われ方とされてしまうようなんですね。







端子の奥深くをのぞくと案の定、中の線が折れて無くなっていました。
例えば10本の線が入っていて各々の役割があるのに2本とかなくなっていたら音が出ない確率が多いですね。そんな感じ。というわけで、この際なんで3台とも端子を総取替えすることにしました。








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一台につき4つ!





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これは基盤を裏から見たところ。
一個の端子につきハンダのポイントが10個。
10×4=40


40箇所のハンダポイント×3台=120箇所!
というわけでハンダを吸い取りながら古い端子を外していきます。




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壊れている端子。
「お前のせいで音がでらんのじゃー!!」
と怨念を込めながら外していきます。






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余計なハンダが残っていると、ろくなことにならないのできちんと吸い取ります。
こういう作業を雑にやると大概後で苦労するのは、この作業にかぎらず同じですね。








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FURMANのHR-6基盤を見ると1998年のもののようですね。
18年もたったのか。。。というわけで、いつものように秋葉原の千石電商で買ってきた部品をとりつけていきます。もちろん先ほど取り外した時と逆の作業ですから120箇所のハンダ付けです。






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こういう基盤ものの修理で大切なことは同じ端子の数、蓋を閉めた時にきちんとしまるかどうか、耐圧などは大丈夫なのかというところを考慮したうえでの部品の選定です。汎用的な部品であればいいんですけど、特殊なやつだと修理が難しいですね。とはいえスタジオも経営されている知り合いの方からの依頼だったのでキューボックスを頑張って修理します。






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よくわからないシールのノリのあともあったのでシンナー使って磨いてきれいにしておきました。
(塗料部分にやると塗料も溶けたりするのでシンナーの扱いには気を付けましょう)



修理が終わったら、キューボックスのサイドに僕が修理した日付と名前を入れたダイモテープを貼ってできあがり。






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先日スタジオに遊び行ったところ再びスタジオでキューボックスとして使われていました。
自分が治した機材が動いているのを見るのは気持ちの良いものですね。





それではー!

 

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